芸能界デビューへの道身体イメージをつかむA

ト書きの利用法

オーディション会場で、台詞の入った紙を渡され、演技をしてみるよう指示される
ことがありますね。
その際、いきなり台詞だけを見て、「どう読もうか」と考え込んではいけません。
まずは、その台詞がどんな状況で、どんな人物によって、どのような状態にあって
発せられるのかを、気負わずにぼんやりと想像してみましょう。
「自分がやるんだ」「どう読んだらいいだろう」と力んでは、自由な発想は生まれ
てきません。
まずは、他人が作成した世界として、つきはなして考えてみることが必要です。

そこでまず重要になってくるのは、実はト書きです。
現実の自分はオーディション会場にいて、やがて審査員の前に立たされることに
なります。その際に、ト書きによる場所・時間・設定が、何をすべきかを力まずに
決定していくのに大いなる助けになってくれます。

例えば、

  とある冬の日、夕方。静かな喫茶店。女が一人、入ってくる。

というト書きがあるとしましょう。
これだけで、たくさんイメージの種がばらまかれています。

「冬」といっても、どの時期の冬でしょう? 日本であれば、12月と2月では、
寒さの度合いが違います。
「夕方」といっても、晴れの日と曇りの日では、日差しの量が違います。
「静かな」といっても、どの程度静かなのでしょう?
店内音楽は流れているかも知れません。その音楽はどのような音楽でしょう?
ジャズ、クラシック、ボサノバ、様々な種類があります。
「喫茶店」の広さはどのくらいでしょう? カウンターはありますか?
観葉植物は? 店員は何人くらい? どんな匂いがするでしょう?
テーブルはいくつくらいで、どんな形をしていますか?…

このように、様々な問いかけをし、自分でイメージをふくらませていきましょう。
何も指示がないということは、自分で決めてよいということです。
ただ、審査員にその場で指示をもらうこともあります。
その場合は、それもイメージの中に取り込んで、かつ修正する必要がある点は修正
して、臨機応変に対応するようにしましょう。

例えば、こんな指示をうけることがあります。

 「すっごく急いで入ってきてくれる?」
 「悲しくてしょうがない、っていう状態で席についてくれる?」
「待ち合わせの相手が遅れて、苛立ってるふうにやってみて」

このような指示は、審査員があなたから様々な表情を引き出してみたいときに生ま
れてきます。
その場合も、「うまくできるかな」などとは思わず、とにかくやってみること。
ただ大切なことは、やりながらでもよいので、その場その場で必要なイメージを補
っていくこと。

「急いで入ってくる」場合、「なぜ」急いで入ってくるのか、その理由がないと演
じきることはできません。
「待ち合わせの時間に遅れそうだから」「トイレに行きたい」「喉が渇いて仕方な
い」など、いろいろあると思います。
「なぜ」まで指示される場合もありますが、指示がなかった場合、自分で補ってい
くことが必要です。


考えるヒント――5W1H

自分でイメージを立ち上げていくときに、when(いつ)・where(どこで)・
who(誰が)・what(何を)・why(なぜ)・how(どのように)を柱にして考えてい
くと便利です。
上記例では、when=「とある冬の日、夕方」 where=「静かな喫茶店」
who=「女が一人」 what=「入ってくる」となります。
「急いで」等の審査員の指示は、howに当たります。
何も考えが浮かばないとき、まずは5w1Hを整理して、さらに一つ一つの項目につい
て吟味していくのも一つの手です。

普段テレビで見るドラマや映画、舞台なども、たまにこのように整理して見ること
もしてみましょう。
俳優さんたちが演じる際に何を決め手にしているのか、見えてくるかも知れません。


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